【介護転職ストーリー】「できない」から「できる」へ。29歳元保育士が見つけた、新たな”育み”の形

さまざまな人々の介護転職への道のりをご紹介する「介護転職ストーリー」。第2回目は、29歳元保育士の挑戦です。

名前：R.N.さん
年齢：29歳
職業：介護福祉士（認知症対応型デイサービス勤務）
趣味：ジョギング、料理

生い立ち～子どもたちと駆け抜けた日々

福岡市の郊外で育ったR.N.さん。幼い頃からの夢は、子どもたちの成長を支える保育士になることでした。短大で幼児教育を専攻し、卒業後は念願叶って市内の保育園に就職。毎日、園児たちの元気な声と笑顔に囲まれ、充実した日々を送っていました。

26歳の壁と、祖母が教えてくれたこと

仕事はやりがいに満ちていましたが、R.N.さんの前には「理想と現実の壁」が立ちはだかります。保育士の給与はなかなか上がらず、キャリアアップの道筋も見えづらい。責任の重さと待遇が見合わないと感じ、次第に「このままでいいのだろうか」という焦りが募っていきました。

そんなR.N.さんの人生に大きな転機が訪れたのは、同居していた祖母が認知症と診断されたことでした。明るく、いつも家族の中心にいた祖母が、少しずつ記憶を失っていく。その現実を受け入れられず、家族みんなが戸惑う中、R.N.さんは自然と祖母のケアの中心を担うようになります。

できないことが増えていく祖母。それでも、R.N.さんが作った料理を「美味しいね」と笑う。一緒に歌を歌えば、昔を思い出して涙ぐむ。その一つひとつの反応が、R.N.さんの心に深く響きました。

【重要ポイント】
R.N.さんの転機は、祖母の介護を通して得た「できないことを嘆くのではなく、できることを見つけて喜ぶ」という視点の変化でした。それは、成長を支援する保育とは異なる、「その人らしさを支える」という新しい”育み”の形との出会いでした。

保育士から介護福祉士へ。第二のキャリアをスタート

「この経験を、仕事に活かしたい」。

決意したR.N.さんは、働きながら介護の資格取得を目指します。保育士としての経験が認められたことで、実務者研修を経て、通常より短い期間で介護福祉士の国家試験受験資格を得ることができました。仕事と勉強の両立は決して楽ではありませんでしたが、「祖母のような人たちの力になりたい」という強い想いが彼女を支えました。

見事、国家試験に合格したR.N.さんは、保育園を退職。認知症ケアに特化したデイサービスへの転職を果たしました。

現在：二つの経験を力に変えて

現在、R.N.さんは介護福祉士として、認知症の利用者さん一人ひとりに寄り添う日々を送っています。保育士時代に培ったレクリエーションの企画力や、一人ひとりの個性を見抜く観察眼は、介護の現場で大きな力となっています。趣味の料理を活かして利用者さんと一緒におやつ作りをしたり、安全な範囲で体を動かす体操を考えたりと、彼女ならではのケアは、利用者さんや同僚から厚い信頼を得ています。

R.N.さんの物語は、一見まったく違う分野の経験でも、必ず次のキャリアに繋がる力になることを示しています。迷いや葛藤の先に見つけた新しい道で、彼女は今日も、利用者さんという”人生の先輩”たちの物語を、大切に育んでいます。

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