【介護転職 不安】介護職の「夜勤」による心身への影響と対策！長時間勤務の驚きの現実とは？

介護職の転職を検討する際、給与や勤務地と同等に重要な判断材料が「夜勤の有無」です。介護施設の約9割が夜勤を導入し、その大半が16時間以上の長時間勤務になる「2交代制」を採用しています。本記事では、介護職の夜勤が心身に与える具体的な影響と、転職後の適応を助ける対策について、学術的データに基づいて解説します。

介護施設における夜勤の現実

まずは、介護の夜勤の現実から見ていきましょう。

9割の施設で16時間以上の2交代制

日本医労連の2023年介護施設夜勤実態調査によると、介護施設の89.3%で16時間程度の長時間勤務になる2交代制夜勤を実施しています。集計対象は124施設179職場、職員総数3,332人（介護職員71.6%、看護職員18.2%、その他職員10.1%）であり、統計的に信頼度の高い調査です。

典型的な2交代制は夕方16時頃の出社から翌朝9時頃の退社となり、その間約16時間から17時間の拘束を受けることになります。この出勤は「2日分の勤務扱い」になるため、夜勤明けは出勤扱い、その翌日が公休となるシフト体制が一般的です。

月の夜勤回数は施設によってばらつきがありますが、おおよそ月4～5回が目安です。ただし、夜勤可能な職員が不足している施設では月6～8回に達する例も存在し、その場合、介護職の心身への負担は深刻になります。

夜勤による心身への影響

続いては、具体的な心身への影響を見ていきましょう。

睡眠障害の高い発症率

厚生労働省が発表した『労働環境調査』では、深夜業務に従事する労働者の中で医師から睡眠障害と診断された割合は18.8%と報告されています。しかし、寝つきが悪い、早朝覚醒、日中の眠気といった睡眠障害の症状を感じながらも医療機関を受診していない者を含めると、実際にはさらに多くの介護職が何らかの睡眠障害を抱えている可能性が高いです。

2交代制の夜勤中、仮眠時間は一般的に2時間程度が設定されていますが、実際の運用では確保できない職場も多く存在します。小規模施設やグループホームでは「一人体制（ワンオペ）」での夜勤が常態化しており、ナースコール対応や見守り業務に追われるため、予定通りの仮眠時間が確保できないことが多いのです。

健康リスクの増加：心疾患と脳血管疾患

海外の研究では、夜勤に従事する労働者における健康リスクの増加が報告されています。フランスの大規模コホート研究（STRESSJEM研究）では、夜勤・交代勤務従事者において、すべての死亡原因に対するリスク増加、特に心血管疾患や脳血管疾患による死亡リスクの増加が報告されています。

これらの数値は、長期的な夜勤従事による体内時計の乱れが、心臓と脳の血管系統に累積的なダメージをもたらすことを示唆しています。体内時計（サーカディアンリズム）と逆行する活動を繰り返すことで、ホルモン分泌のバランスが乱れ、血圧上昇、血管炎症、血液凝固の異常につながるとみられています。

メンタルヘルスへの悪影響

介護職の夜勤は、単なる「眠気」の問題ではなく、深刻なメンタルヘルス課題を引き起こします。不規則な勤務による生活リズムの崩壊は、抑うつ症状、不安障害、さらには自殺念慮の発生につながる可能性が指摘されています。

特に、夜間の一人体制での勤務は、心理的な孤立感と緊張感が共存する状態をもたらします。利用者の急変への対応責任を一人で抱えながら、同時に睡眠不足と疲労に対処する必要があり、この二重の負担がメンタルヘルス悪化の主要因と考えられます。

特に負担が大きい時間帯：明け方5時から8時

夜勤業務の中でも、利用者の覚醒に伴い着替え、排泄、整容、移乗介助など、身体的負荷が最大になる時間帯が朝5時から8時です。同時に、介護職の眠気と疲労もピークに達する時間帯であり、判断ミスやケアの質低下が発生しやすい危険なコンビネーションになっているのです。

介護現場における事故報告の実態調査から、この時間帯における事故やインシデント発生の傾向が確認されています。また、利用者への対応が雑になりやすく、その結果として苦情やクレームが発生しやすい時間帯でもあります。

夜勤の心身的リスクへの対応策

ここからは、心身的なリスクへの対策についてご紹介します。

夜勤前の過ごし方の工夫

夜勤前日は「寝だめ」をせず、いつもと同じ生活リズムで過ごすことが重要です。普段より多くの睡眠をとると、かえって生活リズムが乱れ、夜勤当日の眠気を悪化させます。

夜勤前の仮眠は効果的です。出勤の2～3時間前に30分から1時間程度の仮眠をとっておくと、夜勤中の眠気と疲労が軽減されるという研究結果があります。その際、カフェインを摂取してから寝ることで、約30分後の覚醒時にカフェインの効果が作用し、起床がスムーズになります。

夜勤中の仮眠の質的向上

夜勤中の2時間の仮眠でも、環境と方法を工夫することで回復効果を高めることができます。仮眠中は、外部音を遮断できる部屋を確保し、まぶしくない照度設定にすることが大切です。多くの施設では仮眠室が不十分であるため、転職前に「仮眠環境」について具体的に確認することが重要です。

眠れない場合でも、目を閉じて静かに体を休めるだけで、心身の回復が促進されます。無理に眠ろうとするストレスは、かえって眠気を悪化させるため、リラックスを心がけることが大切です。

夜勤明けの過ごし方

夜勤明けの日中の過ごし方が、翌日以降の回復を大きく左右します。帰宅後、すぐに寝てしまうのではなく、軽い散歩など日光を浴びながら軽い運動をすることで、体内時計のリセットが促進されます。その後、昼寝を2～3時間程度取ることが理想的です。

夜勤明けの日は、重要な家事や判断を必要とする作業は避け、心身の回復を優先することが長期的な働き方の持続につながります。

転職時の確認ポイント：夜勤環境の評価

転職を決める前に、以下の点を必ず確認しましょう。仮眠室の環境、一人体制か複数体制か、月の夜勤回数の平均値、急変時の対応体制、スタッフの離職率（高い場合は夜勤負担が大きい可能性）、健康診断の実施状況。これらの情報は、転職後の適応と健康維持に直結しています。

おわりに

介護職の夜勤は、単なる「きつい勤務」ではなく、心身に深刻な影響をもたらす可能性があります。睡眠障害とメンタルヘルス悪化、心血管疾患と脳血管疾患のリスク増加は、無視できない健康課題です。ただし、適切な対策と職場環境の選択により、これらのリスクを軽減することは可能です。転職を決定する際は、「夜勤の有無」だけでなく、「夜勤環境の質」を問う視点を持つことが、長期的なキャリアと健康の両立を実現する鍵となります。

◆

「ブランク明けで職場に戻るのが不安」
「育児や家庭と両立しながら、無理なく働ける環境を探している」

そんな悩みを抱える方にこそ、介護専門の求人サイトかいご畑 が役立ちます。

派遣やパートの勤務スタイルを中心に、日勤のみや週3日からの勤務など、ライフスタイルに応じた柔軟な働き方を選択可能。「紹介予定派遣」という制度を活用すれば、一定期間派遣で働いた後、職場との相性を確認してから正社員へ切り替えることもできます。

さらに、専属コーディネーターが地域の施設情報を熟知しており、丁寧にヒアリングしながらあなたにぴったりの職場を提案してくれます。

↓以下の広告（PR）リンクから無料登録して、あなたに合った働き方を探してみませんか？