【介護転職ストーリー】「もう一度、社会の役に立ちたい」。58歳元スーパー店員、夫の定年を機に見つけた新たな生きがい

2025年11月12日 2025年11月8日

carex9job

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さまざまな人々の介護転職への道のりをご紹介する「介護転職ストーリー」。第9回目は、58歳元スーパー店員の挑戦です。

S.Y.さん
現在の年齢：58歳
現在の職業：介護職員（デイサービス勤務）
趣味：家庭菜園、孫と遊ぶこと

「毎日、同じことの繰り返し。そんな風に思っていたんです」。そう語るS.Y.さんの人生は、夫の定年をきっかけに、予期せぬ方向へと大きく舵を切りました。20年以上続けたパートの仕事、そして主婦としての日常。その先に見つけたのは、誰かの「ありがとう」に直接触れることができる、温かい世界でした。

これは、人生の後半に差し掛かった一人の女性が、再び社会との繋がりを見出し、輝きを取り戻すまでの物語です。

生い立ち～20年続けたスーパーのパート勤務

S.Y.さんは、大学を卒業後、一度は事務職として働きましたが、結婚を機に退職。二人の子どもに恵まれ、子育てに専念する日々を送っていました。子どもたちが手を離れた30代後半、社会との繋がりを求めて近所のスーパーでパートを始めます。

レジ打ち、品出し、惣菜のパック詰め。毎日が同じ作業の繰り返しでした。常連のお客様との挨拶や、たまに「ありがとう」と言われることに喜びを感じることはあっても、仕事そのものに大きな達成感があったわけではありませんでした。「家計の足しになれば」「少しでも社会と繋がっていれば」。そんな思いで、気づけば20年以上の歳月が流れていました。

彼女の心の中に、漠然とした焦りが芽生え始めたのは、50代半ばを過ぎた頃でした。

「私の人生、このままで終わるのかな。子育ても一段落して、パートも続けてきたけど、何か『私だからできること』って、何もないんじゃないか…」

そんな思いを抱えながらも、日々の忙しさに紛れ、時間だけが過ぎていきました。

きっかけは夫の定年。「俺は、まだ社会と繋がっていたい」

大きな転機となったのは、夫の定年でした。長年、会社員として勤め上げた夫は、退職後、地域でのボランティア活動を始めます。地域の清掃活動や、子どもたちの見守り隊。生き生きと活動する夫の姿は、S.Y.さんにとって眩しく映りました。

ある日、夫がこう言ったのです。

「仕事はなくなったけど、俺はまだ社会と繋がっていたいんだ。誰かの役に立っているって実感できると、やっぱり嬉しいもんだな」

その言葉が、S.Y.さんの心に火をつけました。「夫だけじゃない、私もまだ何かできるんじゃないか」。スーパーのパートでは得られなかった、直接的な社会貢献への渇望。その思いが、彼女を新たな道へと突き動かしました。

【重要ポイント】
夫の定年後の生き生きとした姿と、「社会と繋がっていたい」という言葉。それが、自分の人生を見つめ直し、新たな挑戦を決意する直接的なきっかけとなりました。

S.Y.さんが選んだのは、介護の世界でした。自分自身の両親の介護経験から、「いつかは誰かの役に立つかもしれない」と漠然と考えていたこと。そして、スーパーの仕事で培った「人と接することへの抵抗のなさ」が、彼女の背中を押しました。

57歳にして、彼女は20年以上勤めたスーパーを退職。市の広報で見つけた「介護職員初任者研修」の講座に申し込み、半年間の勉強に没頭しました。同世代の仲間たちと共に、慣れない専門用語や実技に奮闘する日々。不安がなかったわけではありません。しかし、「今度こそ、胸を張って『人の役に立っている』と言える仕事がしたい」。その一心で、彼女は必死に学び続けました。